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顕微分光膜厚計におけるDLC膜の計測評価技術

2.顕微分光膜厚計『OPTM』

OPTMは大塚電子(当社)が扱ってきた従来機種FE-3000という装置の後継機種です。(図1)

図1 顕微分光膜厚計 OPTM
図1 顕微分光膜厚計 OPTM

OPTMは光干渉法により、試料の反射率・膜厚・nkおよびそれらから求まる粗さ・硬さ・膜質といった物性値を測定することが可能です。

光を用いて測定をするため、サンプルには可視光を中心とした近紫外・近赤外の光を照射するのみであり、サンプルにダメージを与えること無く非破壊・非接触での測定が可能です。

従来機に比べ高精度・高速化を実現し、特に測定時間は1秒以下/1点を実現しました。

顕微鏡光学系(図2)を採用しているためスポットサイズは最小3μm、観察画像より測定箇所を確認しながらの測定が可能です。

図2 顕微鏡光学系
図2 顕微鏡光学系

スポットサイズが微小であるため、形状のあるサンプル、仮に(図3)のようなレンズ状の試料を測定する場合、その頂点の近傍は水平とみなせるため、フラットなサンプルと同様に測定が可能です。また、頂点以外を測定する場合は試料を傾け、測定をしたい任意の箇所が頂点となるように試料を設置します。

図3 レンズなど形状のあるサンプルの測定例
図3 レンズなど形状のあるサンプルの測定例

OPTMは測定に必要な機能を全てヘッド部に集約している。試料の形状や測定したい状況によって下部のステージ部はカスタマイズが可能です。また、なんらかの製造装置・搬送装置にインテグレーションしたり、別の計測機器とコラボレーションした応用も容易です。

OPTMの採用する光干渉法について簡単に説明する。基板の上にある膜厚でコーティングされたサンプルに光を照射すると、膜表面で反射する光と一度膜の中に透過し基板界面で反射する光が干渉します。(図4)これをスペクトル(連続した波長)で確認すると膜厚が厚いと波が沢山、薄いと波が少ししか現れないといった変化を起こします。(図5)これを捉えるのが光干渉法のおおよその原理です。

図4 光干渉法の原理
図4 光干渉法の原理

図5 膜厚と波長の関係
図5 膜厚と波長の関係

同原理を用いた簡易的なものは波長方向の変化のみを捉え膜厚のみを測定するが、OPTMは絶対反射率(反射率の強度)も高精度に測定するため、膜厚に加え反射率、光学定数(nk:屈折率nと消衰係数k)、粗さや中間層といった構造が測定できます。後述する具体的な事例の中で詳しく述べますが、nkは膜種・膜質と呼ばれる物質由来によって決まる定数であり、nkが測定できるということは膜質を測定することに近いです。また、DLCの場合、nはSp2-Sp3の比率およびその硬さと相関があり、nkを測定するということは成膜条件により変化しやすいDLCの物性値が評価できると言えます。

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