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【入門】 微粒子の粒子径(粒径)測定

2.粒子径(粒径)測定原理

当社装置の光散乱法による粒子径測定範囲は図1に示すようにAr仕様で1.4nm~7μm(He-Ne仕様では3nm~7μm)です。この範囲にある粒子は、溶液中で並進・回転等のブラウン運動(Brownian motion)により、その位置、方位、形態を時々刻々変えています。これらの粒子にレーザー光を照射し、出てくる散乱光を検出すると、その粒子のブラウン運動に依存した散乱強度の揺らぎが観測されます。このため、散乱光の時間的な揺らぎを観測することで、粒子のブラウン運動の速度(拡散係数)が得られ、さらには粒子の大きさを知ることが出来ます。

当社装置では、この動的光散乱法を用いて粒子径・粒子径分布を導き出しています。

次に各種粒子径測定法の比較を示します。

表1.各種粒子径測定方法の比較

測定方法 粒子径範囲(μm) 測定現象 利点 欠点
動的光散乱法 0.0014~7 散乱強度の
揺らぎ
サブミクロン以下の粒子径測定可能溶媒の屈折率・粘度のみ必要で試料の影響因子がない 散乱強度に依存しやすい
ダストの影響がでやすい
レーザー
回折法
0.015~3000(機種により範囲は異なります) 回折散乱
パターン
簡便広い範囲の粒子径測定が可能 粒子の屈折率が必要
サブミクロン粒子の精度がでない。機種により粒子径計算方法が異なる
遠心沈降法 0.01~300 透過光量 安価簡便 粒子密度、屈折率が必要
サブミクロン粒子の測定時間が長い。吸光係数補正が必要
FFF法 0.01~1 透過光量 サブミクロン以下の粒子径測定可能高分解能 粒子密度、屈折率が必要
電気的
検知体法
0.1~1000 電流(電圧)値 粒子体積の
測定可能
ダイナミックスレンジが狭い

 

レーザー回析法は、光の回折現象とミー散乱現象を利用して粒子径を求めるため、広い粒子径範囲で測定が可能ですが、粒子の屈折率を必要とし、またサブミクロン領域ではミー散乱の角度依存性が無くなるため測定精度が得られなくなります。

遠心沈降光透過法は、操作は簡便ですが、粒子径が小さくなればなるほど(試料と分散媒の比重差がなくなるほど)測定時間は長くなるという欠点があります。

FFF法は高分解能の粒子径分布が得られますが、粒子の密度、屈折率が必要です。
電気的検知帯法は粒子体積が測定可能ですが、ダイナミックレンジの拡大が望まれています。

このように各種粒子径測定法はそれぞれ特長を持っていますが、電子顕微鏡測定レベルの大きさを測定できるのは動的光散乱法のみで、超微粒子測定に活用できることがわかります。

注)その他の測定原理

  1. レーザー回折法:光の回折現象(Fraunhofer現象)とミー散乱現象を利用して粒子径を求める。
  2. 遠心沈降光透過法:媒体中を沈降する粒子の大きさと沈降速度の関係から粒子径を測定する。
  3. FFF法(Field Fow Fractionation):清浄液を満たしたダクトに粒子を注入し、それに外力場(Field)を作用させると加えた外力に応じて粒子がダクト上に堆積する。このような堆積粒子に層流の流れを与えると流速の早い位 置にある粒子はより遠くへ運ばれる。その時の粒子の検出を光透過法でおこなって粒子径を求める。
  4. 電気的検知帯法 :電解質溶液中に細孔を通じて形成された電気回路を粒子が横切る際に生じる電気抵抗の変動を検出し粒子の体積と個数を求める。

■ブラウン運動から粒子径(粒径)
懸濁溶液や溶液中に分散した微粒子は、通常ブラウン運動をしており、その動きは大きな粒子では遅く、小さな粒子になるほど早くなります。(図2、3)

小粒子のブラウン運動軌跡 大粒子のブラウン運動軌跡
図2.小粒子のブラウン運動軌跡        図3.大粒子のブラウン運動軌跡

粒子サイズの違いに起因するブラウン運動の違いは、図4に示すように、溶液中で粒子が拡散する速度の違いとして観測されます。このため、拡散係数を測定することで粒子径を求めることが出来ます。

○小粒子                    ○大粒子
小粒子(左)と大粒子(右)の拡散速度の違いを示したモデル小粒子(左)と大粒子(右)の拡散速度の違いを示したモデル
図4.小粒子(左)と大粒子(右)の拡散速度の違いを示したモデル

 粒子径d(直径)の球が、粘性率η0の溶媒中に分散している場合に、拡散係数Dとの関係はアインシュタイン・ストークスの式により次のように表されます。

ここで、kはボルツマン定数、Tは絶対温度です。

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