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平滑表面上に形成された高分子電解質積層膜のゼータ電位

2.実験

1)実験試料
使用した高分子電解質は、カチオン性高分子電解質ポリエチレンイミン(MP Biomedicals社製Mw:50000~100000)と、アニオン性高分子電解質ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Aldrich社製 Mw:75000)の2種類です。平板試料として用いたスライドガラスはIWAKI Micro SlideGlassを使用しました。また、表面ゼータ電位は、大塚電子(株)製ゼータ電位・粒径測定システムELSZseriesを用いて測定しました。

2)実験方法
ブランク測定として、まずスライドガラスの表面ゼータ電位を求めました。スライドガラスを表面ゼータ電位測定用セルにセットし、10mM-NaCl溶液に分散させたモニター粒子(HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)でコーテングし、電荷がほとんどゼロになるように処理した粒子径400nmのポリスチレンラテックス)を注入し、電気泳動させ、セル内部の見掛けの速度分布をレーザードップラー法によって測定しました。電気泳動させた粒子は電荷ゼロと近似できることから、その速度分布は、平板サンプル表面の電位によって、平板サンプルに接する液体に生じる電気浸透流を表しています。森・岡本の式2)を用いてセル内の見掛けの速度分布を理論解析することにより、スライドガラスの表面ゼータ電位が求められます。測定方法の詳細は文献3)をご参照ください。図1に平板セルユニットの写真とその側面図を示します。

図1.平板セルユニットとその側面図
図1.平板セルユニットとその側面図

次に、スライドガラスを取り出し、表面を蒸留水でよく洗浄後、濃度が4×10-4mol/lのポリエチレンイミン水溶液に1時間浸漬させ、その後、蒸留水でよく洗浄後、10mM-NaCl溶液に分散させたモニター粒子を注入し、同様な方法でスライドガラスの表面ゼータ電位を測定しました。さらに、スライドガラスを取り出し、蒸留水でよく洗浄後、今度は濃度が4×10-4mol/lのポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液にスライドガラスを1時間浸漬させ、その後、蒸留水でよく洗浄後、10mM-NaCl溶液に分散させたモニター粒子を注入し、表面ゼータ電位を求めました。

このように、カチオン性およびアニオン性高分子電解質に交互に浸漬させる操作を4回繰り返し、そのつど、スライドガラスの表面ゼータ電位を求めました。

参考文献  2) 森裕行、岡本嘉夫:浮選、27(3) 117-124(1980)
   3) 中村彰一:LSアドバンス、2(1)27-30(2003)

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