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【雑話】 キャピラリー電気泳動序論

2.ゲル電気泳動

狭い隙間では対流が起きにくいことは、随分と昔から知られていたとことでしょう。表面、とくに親水性のもの、の近傍の水は非共有結合によって動きが拘束されています。液体には粘性というものがあり、これは<ずらす>作業に力を必要とすることを意味しています。パイプのような管の水なら、大部分は壁近傍の水とは無関係に流れます。しかし、キャピラリーのように狭い空間の中に満たされた水は、前述の壁近傍の水が錨の役割をするので、流動が大幅に拘束されます。シリカ、ゼラチン、あるいは寒天などのゲル、高分子を粉砕して作った微粒子を充填したカラム、濾(ろ)紙、これらの中の水が、そのような性質を示します。

それらの“隙間”を電気泳動の媒体にすることは、20世紀初頭から色々と試みられてきました。濾紙を用いる方式は一定の成果を示し、濾紙電気泳動が、一時期には広く用いられました。微粒子充填カラムは、隙間の比率が低いためでしょう、分解能が上がらず、速やかに見捨てられました。ゲルは網目構成物質の体積比率が低い点では、格段に優れていました。しかし、初期に使用されたゲルは吸着性が高いのが最大の欠点でありました。特に、シリカゲルは、シリカ微粒子が薄層クロマトグラフィーの担体として用いられていることからも判るように、吸着性が強くて、電気泳動の媒体としては使用に耐えるものではありませんでした。また、これらの狭い隙間においては、電気浸透流の発生が著しく、そのために実用できなかったものも多かったようです。

ゲル電気泳動を実用化に導いたのは、優れた素材、特にポリアクリルアミドゲルそしてアガロースゲルの開発でありました。そこでは、吸着と電気浸透の両難題が完全に近い形でクリアされていました。キャピラリー電気泳動の世界では、両者と常に向かい合うことが求められています。それらを押さえ込んだ、あるいは上手く利用したと思っていても、いつ何時に悪戯(わるさ)を仕掛けてくるか判りません。用心深い心構えが求められます。ゲル電気泳動に慣れ親しんだ人が、キャピラリー電気泳動の世界に踏み込んだとき、最も戸惑うのは、吸着と電気浸透を忘れ去ることができないということでしょう。

ともかく、今はゲル電気泳動が全盛の時代を迎えています。特に、生化学や分子生物学の分野においては、ゲル電気泳動無しでは、研究が進められないと云うのが実状です。

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