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繊維表面のゼータ電位

4.繊維物質の表面ゼータ電位測定

今まで、繊維状物質の表面ゼータ電位においては、繊維自体が水を吸湿するため、繊維状あるいは糸状物質を平板試料用セルに設置しても、水モレを生じ、測定が困難でした。
しかし、図3に示すように絶縁フィルムで繊維状物質を囲うようにすれば、水モレは起こらず、容易に測定できることがわかりました。この試料固定法を用いて、糸状サンプルの表面ゼータ電位測定を試みました。

(1)測定条件
植物繊維の木綿糸と動物繊維の絹糸を平板試料用セルにセットし、モニター粒子溶液のpHを2から6付近まで変えて、各糸の表面ゼータ電位のpH依存性を測定しました。
電気泳動をさせるモニター粒子は、前述のように、ポリスチレンラテックス(粒子径約500nmで表面をヒロドキシプロピルセルロースでコーティングして表面電荷をほぼゼロに抑えたもの)を用い、10mM NaCl溶液にわずかに白濁する程度に分散させ、酸性側は0.1M~1MのHClを用いてpH調製を行いました。
セル内部の測定位置として7点で測定し、森・岡本の式より、表面ゼータ電位を求めました。
なお、ゼータ電位の算出には、Smoluchowski6)の式を用いました。

図4.絹糸および木綿糸の表面ゼータ電位のpH依存性
図4.絹糸および木綿糸の表面ゼータ電位のpH依存性

(2) 測定結果および考察
図4に木綿糸および絹糸の表面ゼータ電位のpH依存性を示します。木綿糸では、測定したいずれのpHでも負のゼータ電位となりました。また、pH6付近で飽和値に達しているような挙動で、このゼータ電位の飽和値の半分に相当するpHは3.5~4付近となり、カルボキシル基のpK(pH3~4)とほぼ一致しています。
木綿糸は陰性繊維で、酸性基(カルボキシル基)を持つため、それを反映したpH依存性になっていると思われます。このことを利用すれば、未知の陰性繊維の酸性解離基を定性的に知る手段ともなりうることが考えられます7)
一方、両性繊維の絹糸のゼータ電位は、酸性側で正の値となり、電荷がゼロになる等電点はpH3付近のpH依存性を示します。酸性基(カルボキシル基)および塩基性基(アミノ基)を有することから妥当な結果であり、等電点(pH3付近)は文献値とよく一致しています8)

参考文献  6) Smoluchowski,M.:Z.phys.Chem.,92,129 (1918)
   7) 須沢利郎:工化,62,232,1231(1959);63,1069,2205(1961);64,573(1961);
染料と薬品, 8,543(1963);表面,2,14(1964)
   8) 須沢利郎:染色工業,12,198(1964)

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