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光散乱法によるフミン酸-重金属複合体のゼータ電位および粒径測定

1.はじめに

カーデニングで腐葉土という言葉をよく耳にします。腐葉土の主成分は植物の葉や茎が腐食してできた有機成分で腐食物質(フミン物質)と呼ばれています。フミン物質は地球上において土壌や天然水中に広く分布しており、植物に対する栄養分の供給に大きな影響を及ぼしていると言われてきました。その農学的な重要性から分画・分離に関する研究が1760年代から行われてきています。近年では、土壌学以外の科学、地球化学、生物学、環境化学、医学などの分野で研究者の興味を引き、その物質、役割、応用などについて研究が活発になってきました。
現在ではフミン物質の性質や環境における様々な作用について次のようなことが明らかにされています。

[生物への影響]
 1.植物の成長を促進し、微生物増殖作用を持つ
 2.不溶性のマンガンや鉄の酸化物と光化学反応すると、これらの金属を還元・イオン化
   して溶解するため、金属の生物摂取性が増加する。
 3.農薬などの合成有機物とさまざまな機構で相互作用して化合物の毒性を軽減する場合
   がある。一方では水に溶けにくい農薬を吸着し、分散させる場合がある。
 4.抗血液凝固性、抗ウイルス性などの生理活性がある。

[環境における作用]
 1.海洋中のフミン物質には界面活性があり、海上に流出した油などの分散を促進させる。
 2.水中のフミン物質は水処理過程において、トリハロメタンなどの有機塩化物の生成に関与
   していると考えられる。
 3.フミン物質には金属イオンと複合体をつくる作用が認められる。

我々は、このようなフミン物質が持つ作用の中で、環境における作用としてあげられている金属イオンとの複合体形成作用に注目しました。フミン物質の一つであるフミン酸と各種金属イオンの間で形成させた複合体の粒子径測定およびゼータ電位測定を行い、フミン酸への各種金属イオンの吸着能の違い、複合体の安定性について興味深い結果が得られましたのでご紹介します。

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